2013年10月アーカイブ

 ブラジルでは、タペジャラ類などの翼竜が見つかっていますが、それは白亜期の翼竜で、南半球で見つかるジュラ紀の翼竜化石は稀で、わすか4つの標本しか見つかっていないそうです。

 今回、パタゴニア北西部にあるジュラ紀後期の翼竜化石について報告されています。以前報告された化石を再評価したもので、新たに、Wenupteryx uzi として記載しています。 


 Euctenochasmatia や Archaeopterodactyloideaの仲間に似ており、南半球で発見された最も完全なジュラ紀の翼竜とされています。

 ネウケン州には、Herbstosaurus と Wenupteryx、そして最近発見されたより派生的な大型翼竜の、少なくも3種がいたとされています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Laura Codorniú and Zulma Gasparini (2013) 
  4. The Late Jurassic pterosaurs from northern Patagonia, Argentina. 
  5. Earth and Environmental Science Transactions of the Royal Society of Edinburgh (advance online publication) 
  6. DOI: http://dx.doi.org/10.1017/S1755691013000388



 オーストラリアで最古とされる鳥類の足跡化石が発見、報告されています。最古とはいっても、白亜紀前期(アルビアン、約1億500万年前)です。

 Eurekalert時事通信に写真があります。小さめのサギ程度とされています。 

 鳥類の足跡化石、南半球での発見例は少なく、白亜紀前期の足跡化石としては、ゴンドワナ大陸で初めてとされています。

 より大きい非鳥類型獣脚類の足跡と同じ表面に残され、三前趾(anisodactyl )型で、ハラックスの印象が残り、第II-IV指の角度が幅広いとされています。  

 この鳥類の足跡化石は、既に報告されている白亜紀前期のほとんどの鳥類の足跡化石よりは大きく、当時としては比較的大きな鳥類が、当時のオーストラリアの極地方にいたとされています。




  1. References:
  2.  
  3. Anthony J. Martin, Patricia Vickers-Rich, Thomas H. Rich & Michael Hall (2013) 
  4. Oldest known avian footprints from Australia: Eumeralla Formation (Albian), Dinosaur Cove, Victoria. 
  5. Palaeontology (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1111/pala.12082



 プロトロサウルス類(protorosauria)といえば、体のわりに首の長いのが特徴的な海生爬虫類です。

 今回、中国南部にある三畳紀中期の地層(Falang Formation)で発見された新種のプロトロサウルス類が記載され、 Fuyuansaurus acutirostris (フユアンサウルス・アクチロストリス)と命名されています。

 首は胴体よりも長く、タニストロフェウス (Tanystropheus) に似て、頚椎は12-13と、それほど多くは無いそうです。プロトロサウルスの中では珍しく、鼻先が長いとされています。




  1. References:
  2.  
  3. Nicholas C. Fraser, Olivier Rieppel & Li Chun (2013) 
  4. A long-snouted protorosaur from the Middle Triassic of southern China. 
  5. Journal of Vertebrate Paleontology 33(5): 1120-1126 
  6. DOI:10.1080/02724634.2013.764310



 ハドロサウロイデア(Hadrosauroidea、いわゆる上科)の仲間は、白亜紀後期になって、ハドロサウリダエ(Hadrosauridae、科)と独自の進化をとげていきます。

 しかし、そのハドロサウリダエの起源は、明確にはなっていないそうです。  主な理由は、フクイサウルスなど、多くの白亜期前期の基盤的なハドロサウロイデアが東アジアで見つかっているにもかかわらず、白亜紀後期早期(カンパニアン以前)の発見例が、6種と少ないからとされています。

 今回、その白亜紀後期早期の地層で発見された新種のハドロサウロイデア、Yunganglong datongensis が報告されています。オープンアクセスです。


  1.  
  2. 学 名:Yunganglong datongensis 
  3. 学名の由来:属名は、発見地の東にある世界遺産・雲崗石窟(うんこうせっくつ、Yungang Grottoes)から 
  4. 系 統:Hadrosauroidea 
  5. 場 所:山西省 地 層:Zhumapu Formation 
  6. 年 代:白亜紀後期早期 
  7. 発見部位:関節していない1成体の頭部や頚椎、坐骨、脛骨などの一部。


 頭部と大腿骨に特徴があり、白亜紀後期のハドロサウロイデアの最も基盤的な位置づけで、やがてのハドロサウリダエの起源と進化の解明に役立つとされています。  

 分岐図がありますが、ハドロサウロイデアの中でも、フクイサウルスよりは派生的で、バクトロサウルスなど9種と同じ位置づけになっています。

 

  1. References:
  2.  
  3. Run-Fu Wang, Hai-Lu You, Shi-Chao Xu, Suo-Zhu Wang, Jian Yi, Li-Juan Xie, Lei Jia & Ya-Xian Li (2013) 
  4. A New Hadrosauroid Dinosaur from the Early Late Cretaceous of Shanxi Province, China. 
  5. PLoS ONE 8(10): e77058. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0077058



竜脚類の連続歩行/モロッコ

 モロッコにあるジュラ紀中期の地層で発見された竜脚類の連続歩行後について報告されています。

 6つの連続歩行があるそうですが、風化と人の活動の影響で、崩壊の危機にさらされているそうです。

 要旨には、科学的な内容は乏しく、保護を求めているといった内容です。

 

  1. References:
  2.  
  3. Amal Enniouar, Abdelouahed Lagnaoui & Adnane Habib (2013) 
  4. A Middle Jurassic sauropod tracksite in the Argana Basin, Western High Atlas, Morocco: an example of paleonichnological heritage for sustainable geotourism. 
  5. Proceedings of the Geologists' Association (advance online publication) 
  6. doi: http://dx.doi.org/10.1016/j.pgeola.2013.09.003



 ダーウィン(Darwin)の愛称で呼ばれる、サウス・ダコタで発見された新しいT.rex の標本がニュースになっています。

 完全な化石という点では、あの"スー"に匹敵するかもしれないと、Timberlakesouth は、伝えています。

 今のところ、特に目新しいような話はなく、科学的価値というより、将棋用的な価値が高いのかもしれませんね。



 パキリノサウルス類は、セントロサウルス類(centrosaurinae、亜科)の中で、もっとも種類が多い角竜です。

 少なくとも、Pachyrhinosaurus. canadensis, P. lakustai、そして、P. perotorum の3種がいたとされています。 

 今回、P. perotorum の脳函について調べ、種の識別に有効なのか、他の種と比較した論文が報告されています。

 より多くの試料が必要とされながら、種の間に2つの特徴的な違いがあったとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Ronald S. Tykoski and Anthony R. Fiorillo (2013) 
  4. Beauty or brains? The braincase of Pachyrhinosaurus perotorum and its utility for species-level distinction in the centrosaurine ceratopsid Pachyrhinosaurus. 
  5. Earth and Environmental Science Transactions of the Royal Society of Edinburgh (advance online publication) DOI: Doi:10.1017/S1755691013000297



 この話題、昨日のツイッターでは、小さなトサカと速報しましたが、むしろ、ベビーにしては早くもトサカ、というべきだったのでしょうね。

 パラサウロロフスといえば、頭部後方に伸びるチューブ状のトサカ(crest)が有名です。しかし、どのように成長したかについては、ほとんど知られていませんでした。

 今回、1歳未満の、パラサウロロフスとしては、最も小さく最も完全な化石が見つかり、そのトサカの成長過程などについて報告されています。オープンアクセスです。Peerj のブログが紹介しています。

 小さいながらトサカの成長を開始しており、これは、パラサウロロフスのトサカの成長には時間がかかるため、他のランベオサウルス類に比べて、早い時期から成長させる必要があったとされています。


 2009年に、ユタ州南部にある約7550万年前の地層(Kaiparowits Formation)で、高校生が発見した化石で、組織切片の分析で成長線がないことから、まだ1歳になっていない幼体とされています。  

 皮膚印象化石も残され、体長は、成体の25%ほどの、2.5メートルとされています。他のランベオサウルス類の幼体とは異なり、鼻腔は、トサカのほぼ全体を占めています。  

 さらに、頭蓋骨が、まだ最大頭蓋骨の25%未満の段階でトサカの成長を開始しており、これは、コリトサウルスのようなハドロサウルス類の、50%の段階でのトサカの成長開始とは対照的とされています。  

 一般的には、鳥盤類は、現存鳥類よりも比較的若い年齢で、しかも小さなサイズで、頭部の装飾を形成したと考えられています。  

 これは、鳥は成体サイズに達した後、生殖成熟に達するのに対し、鳥盤類の少なくとも一部は、体が成熟する前に性的成熟したかもしれないということを反映しているとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Andrew A. Farke, Derek J. Chok, Annisa Herrero, Brandon Scolieri & Sarah Werning (2013) 
  4. Ontogeny in the tube-crested dinosaur Parasaurolophus (Hadrosauridae) and heterochrony in hadrosaurids. 
  5. PeerJ 1:e182 
  6. doi: http://dx.doi.org/10.7717/peerj.182



 論文のタイトルは、「Lone Star Pterosaurs」。

 白い星を一つあしらった州旗から、Lone Star Stateと呼ばれるテキサス州、実は、世界でも有数の翼竜化石産地のひとつです。

 今回、そのテキサス州の化石記録をレビューした論文が報告されています。少なくとも30種が知られ、そのうち、5つが有効種とされています。

 2種が新種として記載されています。アズダルコ類(Azhdarchoidea)のRadiodactylus langstoni と、プテラノドン類(Pteranodontia)のAlamodactylus byrdi です。




  1. References:
  2.  
  3. Brian Andres and Timothy S. Myers (2013) 
  4. Lone Star Pterosaurs. 
  5. Earth and Environmental Science Transactions of the Royal Society of Edinburgh (advance online publication) 
  6. DOI: http://dx.doi.org/10.1017/S1755691013000303



翼竜の連続歩行/重慶市

 重慶市にある白亜紀前期の地層(Jiaguan Formation)で発見された翼竜の連続歩行について報告されています。

 2つの足跡化石群集があって、"Wupus-Pteraichnus ichnoassemblage(翼竜足跡化石群集)" と名付けられた場所では、翼竜の小さな3本指が続いているそうです。

 もう一方は、鳥脚類(Caririchnium lotus)の足跡化石群集を意味する"Caririchnium ichnoassemblage"と名付けられています。

 

  1. References:
  2.  
  3. Lida Xing, Martin G. Lockley, Laura Piñuela, Jianping Zhang, Hendrik Klein, Daqing Li & Fengping Wang (2013) 
  4. Pterosaur trackways from the Lower Cretaceous Jiaguan Formation (Barremian-Albian) of Qijiang, Southwest China. 
  5. Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology (advance online publication) 
  6. doi: http://dx.doi.org/10.1016/j.palaeo.2013.09.003



 アルゼンチンにあるイスキグアラスト層(Ischigualasto Formation)の話が続きますが、そこから産出する基盤的竜脚形類としては、3種類が知られています。

 Eoraptor lunensis(エオラプトル・ルネンシス)の他、Panphagia protos(パンファギア・プロトス)、Chromogisaurus novasi (クロモギサウルス・ノバシ)です。 

 今回、クロモギサウルスについて詳細に記述し、3種の関係について考察した論文が報告されています。

 なお、クロモギサウルスの記載論文は、新種の竜脚形類(2010年8月)で紹介しています。

 解析結果では、パンファギアが最も基盤的で、エオラプトルとパンパドロメウス(Pampadromaeus)、クロモギサウルスとサツルナリア(Saturnalia)からなるクレードが続くとされています。
 


  1. References:
  2.  
  3. Ricardo N. MartÍnez, Cecilia Apaldetti & Diego Abelin (2013) 
  4. Basal sauropodomorphs from the Ischigualasto Formation. Basal sauropodomorphs and the vertebrate fossil record of the Ischigualasto Formation (Late Triassic: Carnian-Norian) of Argentina. 
  5. Journal of Vertebrate Paleontology Memoir 12: 51-69 
  6. DOI:10.1080/02724634.2013.819361



オーストラリアの恐竜切手

 オーストラリアで新たに恐竜切手が発行されるそうです。 Auspost が紹介しています。

 発行されるのは、6種の古生物ですが、恐竜は以下の4種です。

  1. Timimus hermani (ビクトリアで発見) 
  2. Qantassaurus intrepidus (ビクトリアで発見) 
  3. Diamantinasaurus matildae (クイーンズランド州で発見) 
  4. Australovenator wintonensis(クイーンズランド州で発見)



 アルバータ州で発見されたほとんど完全なハドロサウルス類の化石が、ロイヤルティレル博物館に運ばれたそうです。

 約7000万年前の地層からの発見で、ハドロサウルス類の新種と、EdmontonCtvNews が紹介しています。 

 一時は、パックフォーで壊されたとの話もありましたが、頭部を含め、ほとんどは無事なようです。



 Panphagia protos(パンファギア・プロトス)といえば、アルゼンチンのイスキグアラスト層(Ischigualasto Formation)で発見された三畳紀後期の基盤的竜脚形類です。

 パンファギア/最も基盤的な竜脚形類(2009年2月)で紹介しています。 

 今回、その脳函について報告されています。亜成体で関節していない標本です。

 より派生した竜脚形類を特徴づけるいくつかの特徴はパンファギアには無く、脳函の点でも、竜脚形類の初期段階にあると考えられています。



  1. References:
  2.  
  3. Ricardo N. Martínez, José A. Haro & Cecilia Apaldetti (2013) 
  4. Braincase of Panphagia protos (Dinosauria, Sauropodomorpha). Basal sauropodomorphs and the vertebrate fossil record of the Ischigualasto Formation (Late Triassic: Carnian-Norian) of Argentina. 
  5. Journal of Vertebrate Paleontology Memoir 12: 70-82 
  6. DOI:10.1080/02724634.2013.819009



 白亜紀後期の北米大陸といっても、モンタナやアルバータの北部ロッキー山脈地域と、南西部のユタなどとの間には、地理学的なギャップがありました。

 そのうち、南西部ユタの白亜紀後期の世界を著したのが、At the Top of the Grand Staircase: The Late Cretaceous of Southern Utah.(インディアナ大出版局)です。

 10月14日発売で、28章800ページあまりにわたり、それぞれの専門家が解説しています。出版元のインディアナ大出版局に目次などがあります。

 カバーイラストの角竜は、鼻の大きな新種の角竜/ユタ州(2013年7月)で紹介した Nasutoceratops titusi (ナストケラトプス・チスシ)です。


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 紹介しているのは、白亜紀後期の陸上動物化石産地として有名な、ユタ州にあるグランドステアケース・エスカランテ国定公園の地質や化石、歴史などです。

 そこには、2000以上の脊椎動物化石産出サイトがあるそうです。この著では、哺乳類や爬虫類などを多数紹介されていますが、恐竜がらみでは、以下があります。

 なお、27章のティラノサウルス類、 Teratophoneus curriei については、ユタ州産の新種ティラノサウルス類/テトラトフォネウス(2011年1月)で紹介しています。  

 
 

  1.  
  2. 18章 アンキロサウルス類のレビュー  
  3. 19章 オルニトミムス類  
  4. 20章 パキケファロサウルス類のレビュー  
  5. 21章 角竜  
  6. 22章 獣脚類  
  7. 23章 Saurexallopus (オヴィラプトル類の足跡化石)  
  8. 24章 おそらくMacropodosaurus(テリジノサウルス類)の足跡  
  9. 27章 Teratophoneus curriei (Tyrannosauridae)の亜成体のタフォノミー




 蚊の化石から血液成分とくれば、映画の世界ですが、モンタナで、そんな化石が見つかリ、報告されています。

 残念ながら、時代は約4600万年前(始新世中期)で、DNAなどの高分子は見つかっていないため、血液の主は不明とAFPBBが紹介しています。

 腹部あたりから、血液中にあって酸素を運ぶヘモグロビンのヘム鉄の構成成分ポルフィリンや鉄を発見したもの。

 今回の発見は、複雑な有機化合物が残されるタフォノミー(化石形成過程)の条件があることを示しているとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Dale E. Greenwalt et al., 2013 
  4. Hemoglobin-derived porphyrins preserved in a Middle Eocene blood-engorged mosquito 
  5. PNAS Published online before print October 14, 2013 
  6. doi: 10.1073/pnas.1310885110



アラスカの獣脚類化石

 白亜紀後期、アラスカには複数の種類の恐竜がいたことが知られています。特に、7500万-7000万年前に集中したようです。

 今回、アラスカ最北部、ノーススロープにある白亜紀後期の地層(Prince Creek Formation)で発見された獣脚類の中足骨について報告されています。

 その形態やサイズから、オルニトミムス類か、ティラノサウルス類の幼体ではないかとされています。

 組織学的分析から、成熟しており、その成体のサイズは、オルニトミムスのような北米のオルニトミムス類に匹敵するとされています。
 


  1. References:
  2.  
  3. Akinobu Watanabe, Gregory M. Erickson & Patrick S. Druckenmiller (2013) 
  4. An ornithomimosaurian from the Upper Cretaceous Prince Creek Formation of Alaska. 
  5. Journal of Vertebrate Paleontology 33(5): 1169-1175 
  6. DOI:10.1080/02724634.2013.770750



 鳥類と哺乳類の恒温性は、それぞれ独立して進化しました。今回、それらの恒温性は、中国で進化したのではないかとする説が提唱されています。

 2億5000万年前から温暖な時が多かった地球でも、例外的に寒い場所があり、それが、恒温性を進化させたようです。

 その場所として、中国南部にあった大陸塊(クラトン)が、もっともらしいとされています。

 
 ペルム紀後期から三畳紀、白亜紀の地球の気温は高かったのですが、例外的に徐々に寒くなる場所もあり、そこでは、恒温進化が必要とされたとされています。  

 その候補地として、当時、中国南部にあった大陸塊(クラトン)が、もっともらしいと提案されています。2億5000万年前から2億年前にかけて、赤道あたりから古テチス海を横切って移動してきたようです。  

 この南部の大陸塊が、2億年前に中国北部大陸塊と衝突した後、既に低温に適応した動物が北部一帯に広まり、さらに5000万年ほどかけて、遼寧省あたりまで拡散したとしています



  1. References:
  2.  
  3. Sven Kurbel (2013) 
  4. Hypothesis of homeothermy evolution on isolated South China Craton that moved from equator to cold north latitudes 250 to 200 Myr ago. 
  5. Journal of Theoretical Biology (advance online publication) 
  6. doi: http://dx.doi.org/10.1016/j.jtbi.2013.09.018



オーストラリアで大型竜脚類

 オーストラリアで最も完全な初見された竜脚類化石がニュースになっています。Australian Geographic が紹介しています。 

 もっとも、断片的な化石が多いオーストラリアなので、骨盤と9つの脊椎しか見つかっていません。 

 オーストラリアでは、4種類の竜脚類が記載されています。従来にない特徴があり、新種の可能性があるそうです。

 ニュースでは、幅広い腰と、親指を支える中手骨が他の竜脚類より大きいことから、巨大な重量を支えたと考えられています。

 2005年に発見され、" Wade "の愛称で呼ばれています。先週の会議(Conference of Australasian Vertebrate Evolution, Palaeontology and Systematics)で報告されたそうです。



 チリで、シレサウルス類の化石が発見されたと、Latercera (スペイン語)が伝えています。

 ニュースなので詳細は不明ですが、2億3800万-2億4000万年前(三畳紀中期)とされ、チリでは最古の動物化石とされています。  新種かどうかを含めて、研究が続けられるとされています。

 なお、三畳紀中期の新種の恐竜形類/ザンビア(2013年9月)で紹介しましたが、シレサウルス類は恐竜の姉妹群で、恐地球規模で分布していたことがわかってきています。



 昨日のニュースにもでてきましたが、アルゼンチンのイスキグアラストといえば、三畳紀後期の地層が広く露出し、その自然公園群は、2000年に世界遺産に登録されています。

 今回、そのイスキグアラスト層(Ischigualasto Formation)で発見された2種の基盤的恐竜形類が報告されています。 恐竜になる前の外群の仲間ですね。

 ひとつはシレサウルス類の、Ignotosaurus fragilis で、イスキグアラスト動物相からは29番目の脊椎動物とされています。

 
 もうひとつは、まだ名前が付いていない lagerpetidae という仲間です。  

 26の脊椎動物のタクサを示す化石が発見されており、この地層は多様性があったとされています。  

 そして、突然の環境の変化があったというより、徐々に悪化する気候と共に、衰退していったと考えられていま

 

  1. References:
  2.  
  3. Ricardo N. Martínez, Cecilia Apaldetti, Oscar A. Alcober, Carina E. Colombi, Paul C. Sereno, Eliana Fernandez, Paula Santi Malnis, Gustavo A. Correa & Diego Abelin (2013) 
  4. Vertebrate succession in the Ischigualasto Formation. Basal sauropodomorphs and the vertebrate fossil record of the Ischigualasto Formation (Late Triassic: Carnian-Norian) of Argentina. 
  5. Journal of Vertebrate Paleontology Memoir 12: 10-30 
  6. DOI:10.1080/02724634.2013.818546



 Eoraptor lunensis(エオラプトル・ルネンシス)といえば、"夜明けの泥棒"という名が示すように、かつては、最古の恐竜(獣脚類)とされていました。

 しかし、エオラプトルは竜脚形類、それとエオドロマエウス(2011年1月)で紹介したように、セレノらは、初めての分岐学的解析で、基盤的竜脚形類と報告しています。

 今回、セレノらは、その骨学に関する論文を報告しています。

 
 アルゼンチン北西部にある三畳紀後期のイスキグアラスト層(Ischigualasto Formation)で発見されたホロタイプと関連標本を解析したもの。  

 たとえば、獣脚類のような鋸歯を持つわけですが、エオラプトルの小歯(鋸歯の一つ)は、典型的な獣脚類の鋸歯に比べて大きく、より垂直に配向しているなどの特徴が示されています。



  1. References:
  2.  
  3. Paul C. Sereno, Ricardo N. Martínez & Oscar A. Alcober (2013) 
  4. Osteology of Eoraptor lunensis (Dinosauria, Sauropodomorpha). Basal sauropodomorphs and the vertebrate fossil record of the Ischigualasto Formation (Late Triassic: Carnian-Norian) of Argentina. 
  5. Journal of Vertebrate Paleontology Memoir 12: 83-179 
  6. DOI:10.1080/02724634.2013.820113
 



 Jeholornis(ジェホロルニス)は、尾のつけ根に、今まで見つかっていない尾羽を持っていたようです。痕が見つかり、報告されています。

 National Geographic に復元イラストがありますが、2種類の尾羽をあわせ持つ姿です。

 飛行の安定などを図っていたとされています。そのうち、先祖代々の長い尾椎と、その先にある羽根はいらないことに気がつくのかもしれませんね。

 そもそも、ジェホロルニスといえば、白亜期(約1億20000万年前)の鳥類なんですが、論文では2番めに原始的な鳥類とされています。

 
 ちなみに、一番原始的な鳥類は始祖鳥ですね。 

 鳥類とは?/鳥類の定義(2011年1月)で説明しているように、鳥類(Aves)は始祖鳥で定義されていますから、どんな新種が見つかっても、再定義されない限り、最古の鳥類です。  

 原始的なだけに、現生鳥類とは異なり、獣脚類や始祖鳥のような長い尾椎を持ち、その先に尾羽があったとされています 。従来、ジェホロルニスでは、長い尾椎の遠位側にある扇型の羽根が知られていました。  

 今回、尾に羽根の残る11の標本を調べ、そのうち4つに、以前報告されていない、尾椎近位背側にある扇形の羽根の痕を報告しています。  

 10センチにもなる羽根で、尾の基部で扇のように広がっています。  

 この尾羽は、自然選択と性選択の複雑な相互作用の結果として進化し、飛行時の抵抗軽減やバランス調整などの役割を果たしたと考えられています。  



  1. References:
  2.  
  3. Jingmai O'Connor, Xiaoli Wang, Corwin Sullivan, Xiaoting Zheng, Pablo Tubaro, Xiaomei Zhang, and Zhonghe Zhou 
  4. Unique caudal plumage of Jeholornis and complex tail evolution in early birds 
  5. PNAS 2013 ; published ahead of print October 7, 2013
  6. doi:10.1073/pnas.1316979110



 白亜期中頃に爆発的に進化したとされる被子植物、それは受粉昆虫の進化をもたらし、哺乳類の多様性の増加に拍車をかけたと考えられていました。

 しかし、そうではなく、逆に、哺乳類の多様性は減少したとする論文が報告されています。インディアナ大が紹介しています。

 哺乳類全体の数は増えたのかもしれないのですが、被子植物が進化する間、 増えたのは、小さな昆虫を好む三錐歯類( triconodonts)だけ。その多様性は減っていったというのです。

 
 論文では、初期哺乳類の歯とアゴの2つについて、形態や機能の解析を行っています。  その結果、白亜期中期の間、臼歯の多様性、つまり種の多様性は減少したとされています。  

 具体的には、三錐歯類( triconodonts)が増加する一方で、シンメトロドント類(symmetrodonts)やドコドント類(docodonts)、ユーパントテリアン類(eupantotherians)は、減少していったとされています。  

 三錐歯類は、小型で、小さな昆虫を好んでいたようです。  やがて、白亜紀後期晩期になると、植物食の仲間が進化するようになります。



  1. References:
  2.  
  3. David M. Grossnickle and P. David Polly (2013) 
  4. Mammal disparity decreases during the Cretaceous angiosperm radiation. 
  5. Proceeding of the Royal Society B 280 (1) 1771 20132110 
  6. doi: 10.1098/rspb.2013.2110



 花を咲かせる種子植物(顕花植物)の一大グループ、被子植物が出現したのは、ジュラ紀(1億4000万年前)と考えられています。

 しかし、今回、これを1億年もさかのぼる三畳紀中期の花粉化石が報告されています。 フリーアクセスです。  

 ミツバチの登場まで1億年ほどかかるので、受粉していたのは、コガネムシ類ではないかと、チューリッヒ大が紹介しています。

 以前から三畳紀の中頃の被子植物の花粉化石は見つかっています。 

 起源が三畳紀とすれば、裸子植物より繁殖に有利な点が多いとされる被子植物、爆発的に進化する白亜期中頃まで、なぜもたもたしていたのでしょうか。


 種子植物(顕花植物)のうち、種になる胚珠が子房におおわれているのが被子植物で、胚珠がむき出しなのが裸子植物です。  

 今でこそ、陸上植物種の9割が被子植物と言われていますが、中生代は、裸子植物が優勢でした。 

  今回報告されているのは、スイスにある三畳紀中期(2億4720万年前-2億4200万年前、アニシアン)の地層の掘削コアから発見された花粉化石で、被子植物の花粉に必要な全ての特徴を備えているそうです。  

 しかし、中性代前半の連続的な化石記録が乏しいことなどから、被子植物のような(angiosperm-like)花粉とされ、被子植物のステムグループに近いと考えられています。  6つの異なるタイプの花粉があり、多様化が進んでいたと考えられています。



  1. References:
  2.  
  3. Peter A. Hochuli and Susanne Feist-Burkhardt (2013). 
  4. Angiosperm-like pollen and Afropollis from the Middle Triassic (Anisian) of the Germanic Basin (Northern Switzerland).
  5. Frontiers in Plant Science. (advance online publication 
  6. DOI: 10.3389/fpls.2013.0034



 南極大陸で、新種の竜脚形類発掘(2013年7月)で紹介した内容が、米国地質学会で発表される予定です。

 厳しい環境から、そこでの固有性が高まる時期もありましたが、ジュラ紀初期には、他の大陸から恐竜たちがやってきていたようです。

 南極大陸のカーク・パトリック山にあるハンソン層(Hanson Formation)といえば、ジュラ紀前期の恐竜化石産地として有名です。

 そこでは、Cryolophosaurus ellioti(クリオロフォサウルス)や基盤的竜脚形類の Glacialisaurus hammeri(グラシアリサウルス)などの化石が見つかっています。

 今回、それらの他、新たに2種の竜脚形類の化石が見つかったもの。なお、ジルコンのU-Pb年代測定法から、約1億9400万年前とされています。

 
 三畳紀初期からジュラ紀初期にかけて、気候や地形学的バリアから、南極の脊椎動物の固有性は増加していったとされています。  

 しかし、遠縁な3種の竜脚形類が発見されたことから、ジュラ紀初期の間は、それらのバリアは、南極大陸へ他の種が分散してくるのを妨げなかったと考えられています。



  1. References:
  2.  
  3. SMITH, Nathan D., HAMMER, William R.,and MAKOVICKY, Peter J. [2013] 
  4. NEW DINOSAURS FROM THE EARLY JURASSIC HANSON FORMATION OF ANTARCTICA, AND PATTERNS OF DIVERSITY AND BIOGEOGRAPHY IN EARLY JURASSIC SAUROPODOMORPHS 
  5. GSA Paper No. 406-5



 全身骨格の研究に注目されがちですが、歯のような小さくて断片的な化石の解析も、当時の生態系の多様性の解読には重要です。 

 今回、有名なT.rex、スーの化石が発見されたヘルクリーク層の発掘場で発見された獣脚類の遊離歯(脱落歯)化石について報告され、科レベルまで同定されています。

 日本で見つかる恐竜化石の多くが遊離歯ですから、その解析は参考になりそうです。 予稿ですが、全文フリーです。 


 発見された歯の形態には8つあり、そのうち3つは未報告とされています。それらは、Tyrannosauridae、Dromaeosauridae、Troodontidae、そして Avialae の歯とされています。  

 もちろん、歯のみで系統的な位置が決まるわけではなく、それらの系統の特徴を持つ歯ということでしょう。  

 特に、この層からのドロマエオサウルス類については、2つのユニークな特徴があり、以前考えられていたより、多くの種がいて、より多様性があったのではないかとされています。


  1. References:
  2.  
  3. Terry A. Gates, Lindsay E. Zanno, and Peter J. Makovicky (2013) 
  4. Theropod teeth from the upper Maastrichtian Hell Creek Formation "Sue" Quarry: New morphotypes and faunal comparisons. 
  5. Acta Palaeontologica Polonica (in press) 
  6. doi: http://dx.doi.org/10.4202/app.2012.0145



 スペインで新たに見つかった大量絶滅前のたくさんの連続歩行、恐竜たちが闊歩していた姿が目に浮かぶようです。

 ピレネー山脈南部、Tremp Formationで発見された30もの恐竜の足跡化石サイトについて報告されています。PlosONEで、オープンアクセスです。

 大量の足跡化石が残されていますが、ほとんどがハドロサウルス類だそうです。

 白亜期末の約30万年以内とされ、当時、このあたりには、イベロ-アルモリカン島(Ibero-Armorican Island) があり、その河川環境だったと考えられています。

 
 多数の足跡が残された地層レベルは40以上もあって、ほとんどがハドロサウルス類で、竜脚類や獣脚類の足跡も見つかっています。
 ハドロサウルス類の足跡は、北米やアジアで見つかっている Hadrosauropodus に似ているそうです。


  1. References:
  2.  
  3. Bernat Vila, Oriol Oms, Víctor Fondevilla, Rodrigo Gaete, Àngel Galobart, Violeta Riera & José Ignacio Canudo (2013) 
  4. The Latest Succession of Dinosaur Tracksites in Europe: Hadrosaur Ichnology, Track Production and Palaeoenvironments. 
  5. PLoS ONE 8(9): e72579. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0072579



 体全体が様々なヨロイで覆われていたアンキロサウルス類ですが、それは真皮で形成される皮骨(オステオダーム)で、その表面をウロコ状の外皮が覆っていました。

 当然、皮骨化石はよく見つかるのですが、表皮の軟組織の印象となると、まれです。 しかし、中には保存状態の良い化石もあって、今回、それらについて解析した論文が報告されています。

 皮骨が単一の表皮のウロコで覆われていることがわかるとされています。また、多角形の表皮のウロコの下には、1つ又は多数のミリサイズの骨片があるそうです。

 ちなみに、この皮骨、ヒトにもあるのです。


 脊椎動物の骨格は2つに大別されます。魚の鱗に起源がある皮骨骨格(外骨格)と、体幹や四肢を形成する内骨格です。  ヒトの顔面の骨などは、本来は外骨格性の皮骨が内骨格の一部になったものだそうです。  

 そして、この皮骨をヨロイとして利用した脊椎動物が何度か登場します。例えば、アンキロサウルス類や現生のワニなどは、皮骨からなる皮骨性装甲を持っています。  

 この皮骨は、真皮層の表層で直接形成されます。アンキロサウルスの場合も、真皮で様々な形態の皮骨が形成され、その表面をウロコ状の外皮が覆っていました。  

 今回の研究は、初めて、アンキロサウルス類の表皮にあるウロコの構造が、その系統識別に有効( taxonomic utility)である証拠が示されたとしています。  

 また、表皮の印象は、様々な恐竜のクレード全体にわたり、系統ごとに関連するという仮説を示しています。

  皮膚印象による恐竜の種の識別(2012年2月)で紹介しましたが、皮膚印象は系統によって異なり識別可能ということでしょう。

 

  1. References:
  2.  
  3. Victoria M. Arbour, Michael E. Burns, Phil R. Bell & Philip J. Currie (2013) 
  4. Epidermal and dermal integumentary structures of ankylosaurian dinosaurs. 
  5. Journal of Morphology (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1002/jmor.20194



カテゴリーの系統関係は、概要です。詳しくは、脊椎動物の系統関係をどうぞ
 

2014年8月

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